NHN Japanの田端信太郎さんにより発足された「東京編集キュレーターズ」。
その第1回セミナーとして開催されたのが「第1回編集キュレーターアカデミー」でした。
テーマは「『メディア編集の不易流行』~次世代の編集者やキュレーターが、メディアの戦場でサバイブしていくには?~」ということで、ゲストは編集者の菅付雅信さん。
9月6日(木)に下北沢の書店B&Bで開催されました。
「編集はもっと自由に解き放たれていい」
これは菅付さんの「編集天国」の中で述べられている言葉で、今回のセミナー冒頭で田端さんによって読み上げられた言葉。
今回の内容も一貫してこの言葉に尽きると言えるかと思います。
● 紙とウェブ、それぞれのメディアの比較
ウェブメディアは柔軟性が高く、その出現によってメディアの参入障壁が一気に低くなりました。誰でもつくり、ときにはやり直し、公開することができます。紙のメディアには、そのような柔軟性はありません。
紙は不利のような言い方になりましたが、柔軟性が無い分、ひとつひとつの工程に求められるクオリティはもちろん高くなります。
柔軟さでは圧倒的にウェブの利点が高くはなりますが、メディアとしてのクオリティはまだまだ、プロアマの比率をみても紙メディアの方が上であるのが現状だそうです。
但し、ビジュアルもクオリティも、ウェブはもっと向上していくだろうとのこと。
それぞれの利点、それぞれの良さが共存し続けることが想像できるお話でした。
● 「編集」はオリジナリティのある価値を生み出すためのものか
「情報を料理して人に食べさせることが編集である。それは、素材の味を活かす調理でも、メゾン系のフレンチであっても、その価値に上も下もないのだ」と、菅付さんは仰っていました。
物事の共通化を行うのが編集者であり、読者を想定した適切な料理法が必要。受け手の想像力に働き掛けつつも、それを広げ過ぎてはいけない。というお話でした。
しかしながらクリエイターは「触発屋」であるため、受け手の想像力に働きかけているという点で、編集者はクリエイターに位置づけられるそうです。
● ウェブ編集者やキュレーターはクリエイターとして食べていけるのか
そもそもクリエイターが今後食べていくには。
菅付さん曰く「ちょっと」ではなく「すごく」じゃないと食べていけないそうです。ずば抜けて突出していないと、クリエイターとして生計を立てていくのは困難。
「すごい」クリエイターの条件は、発明・発見があるかどうかであり、サバイブできるメディアの人間の条件として、まず人・物・現場に触れているかどうかが重要だとのことでした。
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「何事も、極めるためには最低20年はかかると思っている。早く、正しく、自分の才能を諦めろ。好きなものを見極めろ。自分の人生を、編集するべきだ。」
このセミナーを締めくくった菅付さんの言葉が、何とも印象的で心に突き刺さりました。