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2017年にやった仕事、2018年にやりたい仕事

2018年になりました。プレスラボに入社して、来月で丸2年が経ちます。

ウェブディレクターとして社会人生活を始めた私ですが、途中からフリーライターになり、最終的にそれらのスキルを合算して編集をやっています。

2017年のお仕事は、

  • 芸能人インタビュー記事の企画、執筆、編集
  • 企業サイト掲載記事の企画、執筆、編集(企業担当者取材)
  • その他取材記事の企画、編集(おもしろ・ネタ系以外)
  • 広告関連テキスト執筆(メーカー製品サイトやキャンペーン関連の記事コンテンツ)

このいずれかが多かったです。

 

Yahoo!ニュース特集

まずはYahoo!ニュース特集。Yahoo!ニュースのオリジナルコンテンツです。私は芸能人、著名人取材を担当させていただいています。小学館にいたころも芸能人取材は多く、その頃の経験を生かして伸ばして続けています。

今年担当させていただいたのは、以下の通り。

一部抜粋となります。私のお手伝いの内容としては、

  • 企画(誰に、どんな取材をするかの候補を出して提案)
  • スタッフアサイン(ライター、カメラマンが基本。場合によってはヘアメイク、スタイリストなども)
  • 取材対象のブッキング(事務所との交渉および取材内容の調整)
  • 現場管理(当日までに各スタッフのタイムスケジュール調整、当日の現場管理)
  • 編集(ライター、カメラマンからあがってきた文章や写真といった素材を記事として構成。タイトルや見出しも基本的にはこちらで作成)

ざっとこんなところです。企画に関してはヤフーさんからいただくこともありますが、基本的な私の動きはあまり変わりません。あとは取材後に特集編集部の方やライターさんとあらためて記事内容を相談するなどして、公開まで進めていきます。

ちなみに最後に挙げた竹内涼真さんの記事に関しては取材、執筆も担当させていただきました。

 

ネタりか

あとはこちらも、編集でお手伝いしていた「ネタりか」のオリジナルコンテンツ。年間で36本くらい企画と編集をさせていただきました。日常の素朴な疑問を取材で解明する記事が多いです。

※2019年10月にサイトが閉鎖しました。

軽く抜粋しました。こちらは基本的に企画の内容と進め方をライターさんと相談し、基本的にはライターさんにお任せして、原稿の編集する流れです。

ちなみに担当させていただいた記事が収録された書籍が今月出るようです。ありがたいです。

その他

ANAの航空貨物事業会社、ANA Cargoの「CARGO+」の記事の取材、執筆、編集も担当しました。こちらは企画に関しては、ANA CargoさんとA.C.O.さんにいただいて、それを元に記事作成を進めさせていただいています。

Cargo+成長 挑みつづけた15年。フレイターが開拓する未来の空輸
http://www.anacargo.jp/ja/cargoplus/growth.html
Cargo+希望 定温輸送技術が命をつなぐ。医薬品輸送におけるイノベーション
http://www.anacargo.jp/ja/cargoplus/hope.html
Cargo+もとの日常へ 震災からの復興。熊本市民に愛される動物園が待ち望むそのとき
http://www.anacargo.jp/ja/cargoplus/usually.html

ほかに名前が出せないもので言えば、飲料メーカーの製品サイトやキャンペーンサイトの記事コンテンツなどもいくつか作成しました。

記名記事の執筆で多いのは、アニメ・声優関連です。

これ以外だと2017年は、『ラブライブ!サンシャイン!! Walker』の取材、執筆なども行いました。アニメ関連のお仕事に関しては企画やセッティングに関して決まっているものを、取材と執筆だけご依頼いただく形が多いです。

お仕事以外だと、noteも年末に少し書きました。

 

2018年は

今年やっていきたいお仕事としては、今までの内容を強化する形のものです。特に芸能系取材、あとはライターさんと組んで自由にできる取材ものですね。ですがもちろん、それ以外のご相談もお待ちしております。

あとは、去年オフィスのリノベーションが完了してから「#プレスラボおひろめNight」というイベントの企画・運営を始めたのですが、そちらをもう少し形を変えて、もっと会社やスタッフがいろんな仕事や人と出会える機会を作ることができたら、とも思っています。

また、今年も取材現場には出ますし、執筆や編集は続けていきますが、これまで以上に「もう自分がやらなくてもいいこと」は手放していきたいです。

今すぐというわけではないですが、一緒にお仕事を進められるパートナーやアシスタントといった人とやっていきたいなとは思っています。私の持っているスキルや知識は全部渡します。

ほかにもいろいろやりたいこと、やろうと思っていることはありますが、やる前から決意表明をしても仕方がないので、またいろいろと進んでからご報告します。

それではみなさん、今年もよろしくお願いします!

お仕事のご相談窓口:aco@p-labo.biz
現在はこちら:suzukikozue.info@gmail.com

 

2016年に書いた記事10本と振り返り

 

皆さん年の瀬をどうお過ごしでしょうか。私は幕張メッセで開催されている音楽フェス「COUNTDOWN JAPAN 16/17」にひとりで3日間行って、調子に乗って左脚を負傷しました。

写真は今年の初夏に取材で行った沖縄の離島の海です。

さて本題です。ライターや編集の仕事を始めてからというもの1年間の仕事について細かく振り返ることってあんまりなかったのですが、今年の主だった記事だけでもまとめてみることにしました。

いざ振り返ってみるといろいろ書いてたんですが、折角なので全て違う媒体から記事をピックアップしてみます。

 

【1】お見合いの日々から逃げ出し、アメリカでCMに出演 “生き抜く手段”として僧侶になった女性(ウートピ)

http://wotopi.jp/archives/36699

京都の大行寺というお寺の住職である英月さんという方にインタビューしました。

家出して単身渡米、ラジオパーソナリティなどを務めていたところ、お友達の飼っていた猫のお葬式をしてあげたことをきっかけに僧侶としての道を歩み始めたという英月さん。

苦しくても何に苦しめられているかわからない、何に迷っているかすら気づけない、実は枠にとらわれていることがわからないんです。そういう、自分自身が見えていない状態が「闇」です。そして、闇の中で「今の自分にとって何が都合がいいのか」という方向に流されてしまい、結果的に自分を苦しめることになるんです。

日々正体のわからない苦しみを感じてしまう人たちに読んでほしい、素敵なお話です。

【2】電子工作×手芸で”モノ作り”を提案するアートユニット『テクノ手芸部』とは?(DiFa)

https://www.difa.me/articles/interview-techno-crafts

手芸という身近なものづくりと電子工作を組み合わせ、電子工作を身近なものにするべく活動しているテクノ手芸部。

「何かつくってみたいけど、何を作ればいいかわからなくて、モヤモヤしている」っていう人も多いと思うんです。不思議ですけれど、手を動かしてみるとアイデアって湧くんです。「やったらいいじゃん、気軽に!」っていう。

お二人のお話で、「いつかやろう」ではなく「まずは手を動かしてみよう」と思えるようになります。それは、ご本人たちが楽しんでいるからこそ。

【3】いちばん怖いのは幽霊じゃない! 事故物件のヤバさと見抜き方を大島てるに聞いてきた(ネタりか)

http://netallica.yahoo.co.jp/news/20160622-16211680-netallicaq

事故物件情報サイト「大島てる」の管理人、大島てるさんにお話をうかがいました。

「事故物件で怖いのは、幽霊や心霊現象ばかりではありません。そういったことが怖い人もいると思いますが、それ以上に、『人が亡くなった』という重要な事実を隠蔽する業者や大家が存在することが恐ろしい。いちばん怖いのは、生きている人間なのです」(大島さん)

事故物件の何が怖いのかという本質の部分をしっかりと話していただきました。

【4】フリマアプリが人々の消費動向を大きく変えていて、かなり衝撃を受けた(あころぐ)

http://aco220.com/archives/949

自分のブログの記事がバズりました。メルカリの広報が友人で、たまたまお茶をしながら話しているときに聞いた内容が面白かったので勢いでまとめたら、いろんな人にSNSで言及していただいて……。

おそらくCtoC系サービスのユーザーが楽しんでいるのは

消費者ニーズを考える → それに合うものを選ぶ・作る → 売り方を考える・実践する → 購入される=価値が生まれる → うれしい!=承認欲求満たされる(おこづかいも手に入る)

究極は、この一連の流れなんですよね。自分が物を売るためにした努力が認められた瞬間が大事。「自分がしたことが正しかった、喜ばれた、認められた!」という……中毒性高いですね。

こういう文章書くのが一番楽しいので、2017年はもっと自分の書きたいことに集中したいと思います。

【5】急成長「メルカリ」人気の理由と“落とし穴”(読売オンライン)

http://yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160928-OYT8T50042.html

これはもう上のブログ記事の再録みたいなところがあるのですが、まさかの読売新聞のオンライン版からオファーをいただいたので書きました。貴重な経験でした。

【6】当事者じゃなさすぎる僕らにできること(ほぼ日の塾 発表の広場 – ほぼ日刊イトイ新聞)

http://juku.1101.com/j/koga-128/01.html

2016年は「ほぼ日刊イトイ新聞」の塾に1期生として通っておりまして、そのときに書かせていただきました。

古賀史健さんと糸井重里さんの対談なんて編集できる機会なかなかないので、素敵な機会をいただけて本当によかったです。

【7】ウェブマンガ家の頭のなか——矢島光×かっぴー(cakes)

https://cakes.mu/series/3782

ウェブ漫画家の矢島光さんと、かっぴーさんの対談。お二人の漫画は初めの作品から拝見していて大ファンなので、個人的に本当にいい体験でした。

お二人の名言だらけで抜粋しきれないので、ぜひご覧ください。かっぴーさんの『左ききのエレン』、矢島光さんの『彼女のいる彼氏』の今後の展開についても言及されています!

【8】「毎日のごはんは“一汁一菜”で良い」土井善晴が語る、和食を守る道(Yahoo!ニュース 特集)

http://news.yahoo.co.jp/feature/397

インタビュー自体は弊社(プレスラボ)の木村衣里にお願いしました。木村が素敵なインタビューをしてくれたおかげで、いい記事が書けたと思います。

「テレビ番組でお料理して、私が作ったものをアシスタントの子が『おいしい』と言っても、正直なところ『本当か?』と思いますよ(笑)。でも自分で食べてみて、『ああ、おいしい』って思うんです。それが本当にうれしいわけです。お料理というのは簡単なことで、たとえばお豆を茹でて『色がきれいになったな』と思ったらうれしいし、思っていたよりも鮮度が良くておいしかったらうれしいし、もう、うれしいことだらけなんです」

【9】宮野真守&梶裕貴、亜人を演じて分かった大切な存在(Movie Walker)

http://news.walkerplus.com/article/77383/

http://news.walkerplus.com/article/77384/

去年から今年にかけて多くの声優の方々にインタビューさせていただいたのですが、掲載媒体が『週刊テレビジョン』など紙媒体だったので、ウェブ記事でご紹介できるのはこれくらいです。

あと今年は、ムック本『ガールズ&パンツァーWalker』の執筆にも携わりました。

これまでインタビューさせていただいたのは、神谷浩史さん、宮野真守さん、梶裕貴さん、竹達彩奈さん、梅原裕一郎さん……など。

2017年もアニメ関係のお仕事、お待ちしております。

【10】「真四角」って知ってる?  江戸時代のグラフィカルな書体をさらにアップデート(KAI-YOU)

http://kai-you.net/article/34816

実は大学時代にデザイン事務所でMVとか作ってたのですが、そのデザイン事務所「アイデアスケッチ」が今、江戸時代の「角字」をベースに新たにフォントを制作していまして。

TOKYO DESIGN WEEKに出展されたので、その機会に取材させていただきました。

グラフィックデザインと非常に相性の良い素敵なフォント、オリジナルグッズを注文することもできるので、ぜひ!

 

2016年はこのほかに、Yahoo!ニュース 特集「SNS時代の旗手たち」「仕事Deep Dive」という枠で様々な俳優・タレントの方々を中心にインタビューを企画・編集をさせていただきました。

http://news.yahoo.co.jp/feature

ラリー遠田さんや西森路代さんといった著名なライターの方々、そして弊社で私が絶大な信頼を置くインタビュアー・ライターである大矢幸世さんとお仕事ができ、本当にいい経験ができました。この企画は来年も続きます。

しかし、頼まれた仕事をほぼ全部受けてきたので統一感がない……ここに書いてないことが仕事の全体の7割くらいを占めちゃうので、さらに統一感ないです。

来年は自分がどうなりたいか、どう仕事をしていきたいかをしっかり考えて、年始には目標立てて、やっていこうと思います。

では皆さん、よいお年を〜!

フリマアプリが人々の消費動向を大きく変えていて、かなり衝撃を受けた

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今日、某フリマアプリの中の人やってる友だちに会ったんですけど、そのとき聞いた話が面白かったんですよ。

フリマアプリを使っている人たちの消費動向の話。売る側の人の話です。

「初めて売れたとき、感動するんだよね。自分が説明文やキャッチコピーを書いて、値付けをして、売れた!っていうことで。おこづかいになるっていうのもあるけど、売るための一連の行動によって、承認欲求が満たされるの」

物を売って承認欲求が満たされる、だと……!?

コツコツおこづかいにする目的があっても、それ以上に、「自分の力で物が売れる」中毒になっちゃうらしいです。

それこそとある主婦が、自分が出した物が売れるの楽しすぎて、片っ端から家の物売っちゃって、家に全然ものがなくなってしまった…と嘆く旦那さんがいるとかいないとか。

フリマアプリって開いてみると「え、なんでこんなもの売ってるの……」というものが結構あって。

さっきアプリで実際に見たのは、トイレットペーパーの芯と食品用ラップフィルムの芯の複数本セット。あと新聞紙とかもありますね。

これ、何に使うかっていうと、幼稚園や小学校で使うんですよね。図工の時間とかで。

「明日はおうちにあるものを持ってきてくださーい」とか子供が学校で言われるんですけど、実は以外とおうちにないんですよね、そういうものって。

芯とかいくつもないし、新聞紙はもう新聞とってない家もあるし、そういうニーズにマッチしてすぐ売れるらしいです。

もう、ユーザーがめちゃくちゃ賢い。賢いのひと言にするのは簡単だけど、どんなニーズがあって、どんなものを売れるかを考えて出品するわけですよ。

「これをお金にするには、どんな人にどうアプローチをして、どう値付けをすればいいのか」と。

使わなくなったものをお金にしたくて売るだけじゃなく、フリマアプリをよく使っている人たちは、もうあらゆるものがお金に見えるらしいですよ。

特に面白かったのが、「服を買うとき、好きなブランドの服と、人気のある(フリマアプリで売れそうな)ブランドの服があったら、後者を選ぶ」という話。

「買う」の先に「売る」を常に考えている層が出てきているってことです。

それこそ昔から、住宅や車などはそうだったと思うんです。

そしてブックオフなど中古買取・販売店の登場で本やゲームなども「のちのち売るためにきれいに使って、箱をとっておこう」とか「マンガは読み終わったらすぐに売ろう」とか。

でもそういうのとは、また違うんですよねこれは。

スマホで簡単に、しかもあらゆるもの(手づくり品や、もともと売り物でなかったようなものまで)を売れるようになり、さらには自分なりに価値を与えられるようになってきたんです。

これまでの中古買取・販売は、一旦買い取った業者が、価値をつけて売るわけじゃないですか。自分に入る額は、その後の販売価格より少ないわけで。

業者を介さないと売れないものもありますけど、その段階を踏まなくても自分で売れて利益を全部得られるなら、そりゃあフリマアプリ使いますよね。

あと、買い取ってもらったとき「え、こんなに安いの?」って思った経験がある人、少なくないと思うんですよね。そこの不満もフリマアプリなら解消されます。

「結局この話、”せどり”でしょ?」って思うかもしれませんが、せどりは売る目的で買ってる(仕入れてる)ので、ちょっと違います。自分が使いたい、ほしいという気持ちはちゃんとあるので。

「ネットオークションは違うの?」となるかもしれませんが、あれは自分で価値をつけるものではないので、また魅力が違うところにあります。

ハンドメイドマーケット系のサービスであれば、自分が作った物に価値が生まれた瞬間の感動が特に大事だと思ってたんですが、おそらくCtoC系サービスのユーザーが楽しんでいるのは

消費者ニーズを考える → それに合うものを選ぶ・作る → 売り方を考える・実践する → 購入される=価値が生まれる → うれしい!=承認欲求満たされる(おこづかいも手に入る)

究極は、この一連の流れなんですよね。自分が物を売るためにした努力が認められた瞬間が大事。「自分がしたことが正しかった、喜ばれた、認められた!」という……中毒性高いですね。

だから必ずしも自分で作ったものでなくても、きっと楽しめるんです。もちろん自分で作ったものなら思い入れも違って、より楽しいと思いますが。

考えながら書いているのでこの話全然ゴールとかないんですが、この新しい消費者行動プロセスに名前つけたいって話して今日は終わりました。


PV=話題性ではないし、PV=ニーズでもない

cakesに掲載されているはあちゅうさんとかっぴーさんの対談「『バズ』やPVにとらわれないクリエイターの生き方」や、最近のメディア周りのPV論争などを見ていていろいろ考えたわけです。

PVが増える主な理由といえばSNSでの拡散、つまりバズ。

人が拡散をする動機としては「周りにも知ってもらいたい」「自分が興味を持っていることを知ってもらいたい」「自分が『わかってるヤツ』と思われたい」といったところです。

感情でもっと細分化していくとコンテンツのおおまかなテーマで分けられていきます。

・共感=「好き」「面白い」「ためになった」「あるある」など、どちらかといえばポジティブな感情に働きかけるもの。

・反発=「怒った、苛立った(嫌い)」「気に入らない」「批判したい」など、どちらかといえばネガティブな感情に働きかけるもの。

・興味=情報サイトのニュース系。たとえばきれいな写真、話題性のあるイラスト、使えるテクニック、おいしいお店、話題のスポットなど。

これらがおおまかな「拡散される可能性が比較的高い」コンテンツ。

で、特にバズりやすいのは「共感」と「反発」を同時に生む確率の高い「問題定義系」、強い「反発」による「炎上」あたり。「共感」だけでバズらせるのはめっっっっっちゃ大変だと思います。というか感情にダイレクトに働きかける「共感」と「反発」に関してはライターや編集者の腕が本当に試される。

「興味」に関してはその人の趣味や流行に左右されるので、ジャンルによっては拡散されづらかったりもします。ただ、やっぱりファッションサイトとして確立されている媒体のファッション記事は拡散されますね。

いろんなところを経由して記事を見られるようになったとはいえ、やっぱりまだ媒体や個人にファンはまだまだついてくれるもので、媒体や記事の方向性を握っている編集者の腕の見せ所かなあと思います。

という肌感覚的に、媒体や個人にファンがついて共に育っていく感じがまた復活してきている気がします。ここ数年そういう感じ減ってたと思うんですよね。今年の下半期くらいで復活してきた気がする。

ちなみに「見る」=「拡散する」とはならないこともあり、「見られても拡散されない」「拡散しても見られない」記事だってあります。たとえば「見られても拡散されない」のはエロやゴシップなど、「見たいけどネットで拡散して『そういう人』と思われたくない。でもこっそりリアルで話題にすることはたまにある」みたいなやつ。

「拡散はされなくても、やっぱりPVってニーズじゃん」って思ったかもしれませんけど、たとえば「タイトルに釣られた」「拡散されているから見てしまった」という”不本意PV”みたいなものもあると思っていて。

SNSでバズってなくてもなぜ不本意PVが生まれるかというと、たとえばシンジケーション先(外部メディア)に配信していたり、ニュースアプリ(キュレーションアプリ)に掲載されていたりと、本来その媒体がもっている読者層以外にもリーチする機会が多くなっているから。

これらがなくなった瞬間にPVもほとんどなくなりそうなWebメディアは結構あると思います。

小手先のテクニックを駆使しまくっていると、どれだけPVがあっても媒体の認知度が一向に上がらないことは多いです。ただ、同じことを繰り返していたり(いつも笑えるとか、いつも炎上とか)、個人ブログでその人の言葉で書かれていたりすると、PV=認知度にもなりやすいです。

ちなみにあんまり小手先のテクニックばかりを駆使しまくってると、文章に感情が見えなくなってきます。テクニックがパズルのように組み合わされるばかりで、効率的になって、文章力とかあんまりいらなくなってくるから。もともと文章力がある人ですらスキル落ちるみたいですからね。ほんと良くない。

大切なのは人の感情と向き合うこと。伝えたい相手に刺さるコンテンツを本気で考えること。そしていちばんは、自分が好きだと思えるものをつくること。結局これだけなんだと思います。

Top image by GotCredit / Flickr

「女子自撮り文化論 〜プリクラからスマホまで〜」

「自撮り」という言葉は、どうやら辞書にも載っているらしい。調べてみると「デジタルカメラやカメラ付き携帯で、自分自身を撮影すること。静止画のほかに動画についてもいう。」と書かれています(大辞林)。

オックスフォード英語辞典で2013年を代表する言葉として、自撮りを意味する「selfie(セルフィー)」が選ばれたくらい、いま世界は自撮りで溢れています。(言葉自体が登場したのは2002年)

日本の自撮りの歴史を遡ると、遡りすぎるとそれこそ絵とか写真の発明とかの話になっちゃうんですが、今回の話の都合上、遡るのはプリクラの話までにしておきます。

プリント倶楽部とプリクラと自撮り黎明期

遡ること1995年。アトラス(現在セガとインデックスに事業が分散して、名前はインデックスに残って、プリクラ関係の事業はなくなったはず)が「プリント倶楽部」を発売し、大ヒットしました。でもたぶん女子が「自撮り」を意識し始めたのはこの段階ではありません。

おそらく女子が「自撮り」を意識し始めたのは、他社が類似製品を出してきた頃。アトラスがプリント倶楽部を出してからしばらくして、他社もこぞって類似製品を出すようになりました。

そこでどんどん力が入れられたのが、デコる機能。スタンプや背景、フレームなどのデコる機能。はじめはただ写真をデコってかわいくできればそれでよかったものの、徐々に、そこに写る女子を魅力的に見せるための美白や美肌を意識したプリクラ機が生み出されて行きました。

ここが日本における自撮り文化の黎明期と言えます。

「写メール」の登場とガラケー時代の自撮り

プリクラの存在を背景に、次に自撮り文化にとってなくてはならないのがもちろん「携帯電話(ガラケー)」の存在。

2000年11月にJ-PHONE(現:ソフトバンクモバイル)がJ-SH04(SHARP)を発売しました。
PHSを含めるとその前に京セラが出してたみたいですが、ガラケーにカメラが初めて付いたのはこの機種です。「写メール」という言葉が生まれました。

考えてみれば携帯電話にカメラが付いた時点で「写メール」という言葉があり、携帯端末での撮影は共有とセットという前提があったため、現在の写真とSNSの相性も必然と言えたのかもしれません。

そのうちインカメラが付いたり、端末自体をひねってカメラを内側に向けられる端末が出てきたり、自分自身を撮影することに適したガラケーが登場します。しかしながらここで面白いのは、インカメラはほとんど受け入れられなかったこと。画質が良い外側のカメラを使うために女子たちは必死になりました。

たぶんここで登場したのが鏡越しの撮影。カメラを鏡に向け、そこに映った自分を撮影する手法です。これはなかなかの優れた技術です。携帯端末を鏡に向けることで、顔の映したくない部分(顔全体の場合もある)を端末で隠すことができます。

ガラケーカメラの画質の低さには、それはそれで利点もありました。むしろこれがなかったら今の自撮り文化はここまで伸びていない気がします。その利点とは、画質が低いゆえにいろいろと誤摩化しがきくこと。つまりコツを掴めば誤摩化したいところを上手に誤摩化すことができたわけです。

ここで自撮り=画質で自分の美をうまく誤摩化すものという概念が定着してきました。

ガラケーカメラでの自撮りの発達までは、まだ黎明期と言えるでしょう。

「隠す」=「かわいい」って何だ!

ちなみに、自撮りにはいろんなパターンがあります。

・光の効果を使って自分のコンプレックスを消したもの(主に顔)
・スタンプなどの加工を使って自分のコンプレックスを消したもの
・鏡越しに撮影して、携帯電話およびスマートフォンで顔(およびその一部)を隠したもの
・角度を研究し尽くして自分を一番魅力的に見せるもの

大体こんな感じ!

いわば女子たちにとって、自撮りは「化粧」のようなものです。デコはメイク。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、日本人の自撮りは「隠す」行為を含んでいます。顔や身体の一部を隠して撮影することで、コンプレックスを隠したり、セクシーさやかわいさを演出したりするのです。

この文化はニコ生などでも見られ、なぜだか知りませんが「隠す」=「かわいい」みたいな風潮もあります。それで(それだけじゃないけど)流行ってるのがマスクブランドgonoturnだったりもします。

スマホ×SNS×写真加工アプリで加速する自撮り文化

次に、自撮り文化確立期および成長期の話。それがスマホの登場です。

最近ようやく女子たちがガラケーからスマホへのシフトを完了しつつあります。かといってそれ自体は別に自撮り文化に対して直接関係はありません。

スマホの女子への普及と共に始まったのが、SNSブームと写真加工アプリの登場です。まあ今日ちょうどSHAKE100主催のセミナーで、女子向けアプリの仕掛人の方々にお話を伺ったのですが、特に「DECOPIC」は計算尽くで波に乗り続けている感じがして素敵でした(具体性のない感想ですみません)。

そもそも女子はなぜ自撮りをするのか。それは男性によく見せようという意識もありますが、女子に対する承認欲求・対抗意識も強いと思います。おしゃれをするのは男性のためよりも周りの女子を意識していたりすることがあるのはこれ。

つまり承認してもらったり対抗したりする相手がいないと意味がありません。いつでもどこでも相手が決まってなくてもとにかくそれを満たせる場所、それがSNSなのです!(カメラアプリ独自の内部SNSが流行らないのは、狭い領域で同じ目的を持った人間が共有しても発見などがあまりなく生産性がないから)

海外と日本での自撮りの文化はちょっと異なっていると感じるのですが、海外は自分のリア充感(友達と楽しんでいる様子など)をアピールするためが中心、日本の場合は容姿を良く見せるアピールのためが中心だと思います。もちろん海外で日本のように容姿を意識したものも、日本でリア充感をアピールするための場合もありますが、中心はどちらかという意味です。もちろんこれは国によっても差があると思うので、調べてみたいところです。

ちなみに写真加工アプリの話をすると、せっかく鮮明に撮れるカメラの画質をあえて落とすものがまあ流行ります。肌の鮮明さを落として美肌とか言ってみたり、明度・彩度をおかしくして美白とか言ってみたり、いろいろフィルターかけてみたり。なんだかこの辺りにガラケーとスマホのハイブリッドな現象を感じますね。でも美肌・美白に関しては最近国産系のアプリで、ただ画質落とす色飛ばすとかでなく、本当にきれいに肌を撮影できるものは出てきています。

写真加工アプリは本当に奥が深くて楽しいです。美肌・美白だけでなく、プリクラのようにスタンプやフレーム、背景やフィルターなどで加工できるものもあれば、最近は写真を切り貼りしてさらにスタンプなどでデコるコラージュ系のアプリも流行しています。女子に流行る写真加工アプリの流れは、調べるだけでも本当に楽しい……

だらだらと長くなりましたが、ここでまとめ。

・女子の自撮り文化黎明期は、プリクラの出現にあり!
・「写メール」が生まれたことで、携帯端末で撮影するもの=共有するものという概念が生まれた
・自撮り=画質で自分の美をうまく誤摩化すものという概念はガラケーによって生まれた
・女子の自撮りは男性に魅力的に見せるためだけでなく、女子に対する承認欲求・対抗意識を解消するためでもある
・スマホが普及し、SNSが流行し、女子の欲求を満たすために最適な共有の場が誕生
・海外と日本における自撮りの文化は異なる部分がある

以上!女子の自撮り文化、カメラアプリ事情に関しては今後も楽しく追っていきます。

2013年振り返りと、結局私は何者なのかという話。

ひさしぶりの更新です。もう年末ですね。

なんだかこの数ヶ月で急に忙しくなったのですが「結局何者やねん」と言われることが多いので、2013年の活動やらを振り返って現状報告などしたいと思います。

2012年10月から2013年6月まではトレンダーズ株式会社に在籍しており、「Amaze」という女性向けプレゼントサービス(平たく言うと懸賞サイト)の運営に携わっていました。

「Amaze」ではメルマガ作成や各ページのコピーライティング、その他ユーザー対応や外部手配などいろいろやっていました。2013年に入ってからは、Amaze運営と平行して、某案件で月に数百の原稿の編集をしたり、なんだかばたばたしていました。

ちなみにトレンダーズ株式会社は2013年6月末で退職しました。とか言ってたまにお手伝いしたりもしていますが。

そして2013年には、1月に桑沢デザイン研究所を受験し、合格し、4月から通い始めました。

カレンダーを見返してみたら、トレンダーズを辞めてからは学校に集中しており、授業に通い、課題をこなし、あとはひたすらアニメを見ていたようです。

7月からTechWaveで書くようになりました。TechWaveの人だと名乗って勝手に取材して良いと編集長のマスキンさんに言われたので、リクルートさんの「MashupAwards9」や、ローソンさんのハッカソン「HackaLawson2013」など、いろいろなイベントに勝手に突撃していました。

8月は1週間くらい大阪にいました。梅田周辺はたぶんもう、ひとりでも大丈夫です。

9月からは、フィギュアでお馴染み海洋堂さんの公式ブロマガを担当させていただくことになりました。現在も書いています。

そして日本ディレクション協会に入ることになり、各セミナー・イベントの運営や、公式サイトの記事を書いたりしています。現在はなぜか編集長という肩書きをいただきました。そろそろ編集長として働かないとまずそうです。

10月からは某Web制作会社にプランナー(業務委託)として入りました。そしてほぼ同時に某社にディレクター(業務委託)として入りました。さらにほぼ同時にAllAboutでiPhoneアプリガイドを始めました。いろいろ一気に始まりました。

いろいろ一気に始まったのに、なぜかこの頃、世界一即戦力な男でお馴染みの菊池良くんが文学フリマに出展するということで、彼の作品を文庫化するべく、装丁デザインとDTPをまるっと担当しました。3週間くらいで仕上げた気がします。

そして11月、また新しく媒体が増え、Yahoo!トレンドニュースでも書き始めました。

そんなこんなで秋はめまぐるしい日々を過ごし、なんだか睡眠時間がわけのわからないことになっていました。まあ今もそうなのですが。

現在は結局どうなっているのかと言うと

■ 仕事
プランナー(業務委託):サイト制作の提案資料作ったりとか
ディレクター(業務委託)某Facebookページの運用したりとか
ライター:TechWave、AllAbout、海洋堂ブロマガ、Yahoo!トレンドニュース、あと単発が月に大抵2〜3本程度

■ その他
桑沢デザイン研究所 夜間部ビジュアルデザインコース(普通に専門学校なので、週5日通っています)
日本ディレクション協会 編集長(セミナー・イベントの企画・運営をしたり、記事を書いたり、他にもいろいろ)

こんな感じです。メインの肩書きはライターです。
プランナーとディレクターはたまたまご縁があったためやっていますが、個人としてやっている活動はライターなので。

2013年、もうすぐ終わるわけですが、学校を辞めることにしました。辞めるタイミングは未定ですが、年度内には辞める旨を既に伝えてあります。
幸いなことにお仕事が充実してきて、デザインを新しく学ぶよりも、これまで積み上げてきたライタースキルをもっと磨きたいと思うようになりました。

いまの夢はメディアの編集部で、ライターや編集のお仕事をすることです。
でもしばらくはフリーランスとして、自分の生活と働き方を合わせて模索しながら、楽しくやっていきたいと思っています。

と、いうわけで、2014年はフリーランスでどこまで思い通りに好きにやれるかがテーマになるかと思います。
来年も皆さまよろしくお願いいたします。

恋愛的視点でLINEの便利さを考える

今や世界中で使われているLINEですが、特に日本で流行った理由について、特に自分の感覚や世代的な視点で考えてみようと思います。かなり主観が多いとは思います。

そもそも今更感はありますが、自分で考えて咀嚼しておくことが、今後サービスなどを考える上で必要だと思ったのでつらつらと書きます。ちなみにクーポンやゲームなどはほとんど置いておいて、基本的なLINEというツールについてのお話です。

まず、携帯メールの一般化まで遡ります。学生のほとんどが携帯電話を持ち、携帯メールが一般化した頃。携帯メールは電話を特別なものにしました。どういうことかと言うと、まあ恋愛を例にすると分かり易いと思います。

まずはメールで仲良くなって、電話をするようになったら特別な存在。こういう現象が起きていたと思います。メールで告白は軽過ぎるけど、電話なら……といった意識が一般的に(特に学生くらいの年代に)あった(今でもあると思う)と思います。

しかしながら、ウィルコムの出現で一瞬電話が格下げされたときもありました。ウィルコム同士は24時間通話し放題ということで、学生が皆ウィルコムを持ち「今日家に帰ったらコムするねー」なんて(まるで今のLINEみたいですね)言葉が交わされることもありました。

しかしながらこれは仲の良い友人同士の話で、恋愛においては別です。やはりどちらにしろメールや普段会っての会話で仲良くなってから、電話をする仲になっていたと思います。

そしてLINEが出現しました。先にLINEがなぜ気軽かを考えておきたいと思います。

1. 連絡先交換が手軽
赤外線通信などがあると言ってもやはり連絡先の交換は何だかんだ言って手間です。「当人同士が会わないと交換できない」「連絡先が変更になった場合の一斉連絡が面倒」「飲み会などで大勢と一気に知り合うと全員と交換するのが面倒だし誰が誰だか忘れる」などなど。まあ不便なことはいろいろあると思います。

これらはLINEの場合すべて解消されています。

当人同士が会わなくても、IDさえ分かれば誰でも連絡先に追加することができます。電話番号は……メールアドレスは……なんてしなくてもIDさえ分かれば通話もチャットもできます。

さらに、1端末1IDであり、端末を変更したらそのままのIDを移行するだけなので、連絡先変更というものがそもそもありません。

そして飲み会など大勢が知り合う場でも、幹事がLINE内にグループを作成すれば、そこで飲み会の感想のやりとりができ、さらに個人的に連絡を取りたければグループ内からアカウントを探して登録することができます。

2. iPhoneユーザーにやさしい
これは連絡先交換でも言えることですが、iPhoneには赤外線通信機能がありません。これまで連絡先交換手段として一般化されてきたものがないのです。慣れ親しんだ機能がないことに不満や不便さを感じた人は多いと思います。

そんなときもLINEなら、口頭でIDを伝えるか「ふるふる」で交換することができます。機種に依存しません。便利。

3. チャットである
短時間に大量のメールをしていた人が一番感じていると思うのですが、送受信のタイムロスがほぼないのは嬉しいと思います。最近は「既読になっているのに返事がない」なんてLINEストレスもあるようですが。内容を遡りやすいのも便利ですね。

PCでチャットをする文化に親しみがなく、メールで短文のやりとりをいらいらしながらしていた層は便利さを一番実感したと思います。

4. スタンプがある
思ったことや感情をわざわざ文章で打って返すのが面倒なときにスタンプは便利です。考えなくていいので気軽です。しかもスタンプを押しているだけでしばらく会話にもなります。

ちなみにスタンプは絵文字の派生だと言う人もいるかもしれませんが、それは少し違います。確かに「絵で感情を表現して送る」という点では絵文字と共通していますが、絵文字はそれ単体では意味を成しません(組み合わせて使うのは例外とします)。

以上のような理由で、LINEというツールはメールよりも気軽で手軽なものとして位置づけられ、利用されるようになったと考えます。

するとどうなったか。なんと携帯メールが特別化されました。むしろこれまでは、好きな人にメールをすることすらためらう女子は多かったと思います。

しかしながらLINEは、大勢で会ったらグループが作成され、その内容からスムーズに個人の連絡に移行することができ、スムーズにお互いの連絡先を知ることができ、チャットで慣れたらそのまま無料通話へ進むこともできます。むしろ、メールと電話という携帯電話の基本機能皆殺しのようなところもあります。

「メールって文章を打たなくちゃいけないから、スタンプや短い言葉でも何とかなるLINEだと、相手にどう思われるかとか気にしすぎなくて楽だよね」と誰かが言っていた気がします。誰だかは忘れました。メールだと好きな人にどう思われてしまうかなどあれこれ考えすぎないで、何かしらスタンプを送ってみれば良いのです。

そして文章として伝えたいことがあればメールをすれば良いのです。おそらく「LINEで告白はちょっと軽過ぎるけど、メールできちんと文章にするならまだいいかもー」なんて会話がありそうです。私の学生時代は「メールで告白は軽過ぎるけど、電話ならー」という会話をよく聞いた気がします。あれ、もう何年前だろう……

蛇足ですが最近LINEが派生サービス(ゲームやらマンガやら)を続々と初めていますが、あれらもそういったコミュニケーションのきっかけになるので、ユーザーは至ってスムーズにかつ喜んで使っていると思います。

なんて言うか、LINEって誰も不幸にならない感じが良いよね。(出会い系みたいに使われるのは、あれはサービス自体の問題ではない)

そろそろまとめます。

新しい製品、サービス、ツールの最大の的は「めんどくさい」です。そのためにIAやらUIやらUXやらがあるわけですが、要はそれ(製品やサービス、ツール)が、既にある「めんどくさい」を解消してくれるか、「めんどくさい」を意識せずに使える(つい使ってしまう)ものであるかが重要なわけです。

そこで恋愛的な考え方は良くて、LINEの場合

片想いしている相手
「連絡先交換、めんどくさいって思われちゃったらどうしよう」
(気軽に手軽にできる。めんどくさくない。)
「あれこれ考えてたら長文になっちゃった…気軽に連絡するにはどうしよう」
(「今何してる?」とか送らなくても、適当にスタンプ送ればこっちも向こうも気軽。)

→ 既にある「めんどくさい」(要はメールでめんどくさかった部分)を解消

片想いされている相手
「連絡先交換して、って興味持たれてるのかな」
(気軽に手軽に交換できるから良くも悪くも意識させずに済む)
「メールが来たけど、文章考えるの面倒だな」
(スタンプ適当に返しておけばOK、気づかないうちに連絡が続き、良い感じになったり)

→ 「めんどくさい」を意識せずに使える

両方を解消しているわけです。

「これってコミュニケーション系のサービスやツールにのみ言えることなのでは?」と思うかもしれませんが、そうではないと思います。

あらゆるものを使うときに恋愛的視点になると、たとえばECであれば、プレゼントを選ぶとしたらどんなUIが良いかだとか、デートに着て行く服を購入するにはどんなサービスだと使ってもらいやすいかとか。カメラアプリなら、どんな加工ができれば好きな人の興味を引きつけられるか(美肌・美白にできればLINEのアイコンにしたとき印象が良いとか、かわいくデコった写真を送れば好感度が上がるだとか)とか。

恋愛的視点というか、昔モバイルコンテンツの流行が女子に携帯電話が普及したことで爆発的になったように、女子視点その中でも特に女子の恋愛視点はサービス構想においてかなり有効だと思うわけです。

フロー型とストック型をくり返すウェブサービスたち

ウェブサービスってフロー型とストック型をくり返してるなーと。肌感覚と想像で書きますね。大事なことなので二回言いますが、肌感覚と想像で書くので、特にきちんとした根拠もなければ参考データのようなものも用意していません。これまで自分でいろいろ使ってきての、ざっくりした考察程度です。

先にフロー型とストック型それぞれを定義しておくと、フロー型は情報のリアルタイム性が高く、質よりもスピードが重視されるもの。ストック型はフロー型ほどのリアルタイム性はないものの、情報の質が比較的高くある程度読み手に配慮をして情報がまとめられているものとしておきます。

さて、まずはちょっと昔の話。

昔は掲示板やチャットが流行して、人々は様々な情報や意見が交わされる場としてのインターネットを楽しんでいたと思います。

これが最初のフロー型の話。

それからウェブログサービス、まあブログが始まりまして、人々は自分の日常や持っている情報をストックし、それをコンテンツとしてユーザー同士が楽しむようになりました。

ブログを持っている人たちは毎日の文章発信では足りず、そこにプロフィールなどもろもろ自分を紹介して他者と繋がるためのものを装飾し始めました。

そこにうまいこと登場したのがmixiやFacebookなどのSNSで、それらは用意されたブログという枠組みを、ユーザーが求める形で拡張し始めたと思います。日記を書き、コミュニティやゲームなどを用意し、コンテンツを通して他者と繋がりたい欲求を満たすようにどんどんサービスを拡張していきました。

特にmixiは、日本人の「インターネットは怪しい場所」というような印象を軽減するために、当初招待制という形をとり、ブログなどに親しみのないユーザーでも容易に扱える形式を用意し、上手に取り込んだと思います。

少し脱線すると、前略プロフィールあたりは面白くて、プロフィールというベースにユーザーが独自であらゆるものを足すようになりました。外部の日記サービスを足したり、プロフィールをまめに更新することでリアルタイム性を持たせたり、主に学生同士が名刺代わりにすることで、インターネット外、現実の場で広まっていきました。そういったサービスの一人歩きが起きるのも面白いわけですが。

ここまでがストック型の話。以降またフロー型が戻ってきます。

その頃ブログでは、特にこれは日本の話だと思うのですが、アメブロを中心に芸能人がこぞって更新頻度を競い合うようになりました。コンテンツの質ではなく、どれだけ新しい情報を提供出来るか、新しい情報をユーザーが得られるか、それらが重要視されてきた時期だと思います。

mixiが飽和状態になり始めた頃、日本でTwitterを使う人たちが増え始めました。まずはアーリーアダプターに広まりましたが、更新頻度を競っていた芸能人がこぞってTwitterを始めました。それによってさらにフロー型を求めるユーザーが爆発的に増えてきます。そしてFacebookが日本語化され、ストック型に飽きてきていたユーザーたちが、mixiのような和製SNSにあるストック性を排除したFacebookにじわじわ集まってきました。

少し角度を変えると、ソーシャルゲームも波に乗ったフロー型のひとつだと思います。提供者側に日々用意された情報(ゲーム内容)を受信して、ユーザー同士で助け合い(他者と繋がりたい欲求を満たす)、これもある種フロー型だと思います。属性的にはちょっと違いますけども。

ここまでが、直近のフロー型の話。

で、そろそろまたストック型が戻ってきそうだなーという臭いを、なんとなく感じています。

アーリーアダプターに広まっているのが有料メルマガ。そしてブログは更新頻度を競い合うものから良質な情報を提供し合う場に変化しているような印象を受けます。ブログに関して、時事的なものやビジネス要素の強いものはまだ広まり始めの段階だと思いますが、幅広い層の女性にとって、良質な美容やファッション情報を得る場としてかなり確立されている印象を受けます。

実際GREEのMagalyなど、既にベースとなるユーザーがいる場で始まった有料メルマガサービスもありますし、巷ではソーシャルメディア疲れなるものも流行っているようですし、そろそろフロー型がおとなしくなる時期かなと思っています。

おそらくアメーバあたりが有料メルマガのようなものを始めたら、急速にストック型が主流として戻ってくると思います。TwitterやFacebookも生き残るとは思いますが、主流とまではいかず、リアルタイム性の高い情報を提供・受信する場として役割がはっきりとした形で残ると思います。

これまでモバイルコンテンツの主流変化で顕著だった気もしますが、まあ女性が大きく動いたら主流変化のスピードは加速するよなあと。これからもきっとそうでしょう。要はアメブロ層をうまく動かして、ストック型主流再来してほしいなあと思っています。

一応まとめておきますね。

・ウェブサービスはフロー型とストック型で主流を交代し続けている
・掲示板やチャットの時代はスピード感のある情報が飛び交っていた(フロー型)
・ブログが登場して日記や情報、思考をまとめる人々が現れた。mixiやFacebookの登場でその主流が安定した。(ストック型)
・ブログで内容より更新頻度が重視されるようになり、Twitterも登場し、昔のフロー型よりも情報が飛び交うスピードが加速。(フロー型)
・mixiで飽きられてきていたストック要素がない日本語化されたFacebookが広まり、フロー型が定着してきたが、人々は次第にフロー型のスピードに疲れを感じてきた。(そろそろフロー型が怪しくなってきた)
・有料メルマガが広まり始め、ブログ内容の質は向上し、ソーシャルメディア疲れの流行などから、ストック型主流再来の予感。

ここまで書いてきて、いろいろ考えていて、面白いなあと思ったのは、ブログってサービスはずっと変わりなくあるのに、その使い方の主流だけが変化してきているから、それをなんとなく追っていると、サービスの主流とリンクしている気がするんですよね。

まあウェブサービスと一口に言っても、いろいろな属性のものがあるので、今回は表面的な主流考察でした。まあその辺考察しとかないと、派生サービス出すタイミング逃しそうだしね…私は別に出さないけど…

以上、ざっくり肌感覚と想像のまとめでした。(大事なことなので三回目)

AR三兄弟、三男卒業。


きっかけは何だったか、今となっては忘れてしまいましたが。
2010年、私はAR三兄弟という方々と出会いました。

その年の秋、一緒に高尾山に登りました。
その年の年末、AR忘年会というイベントのスタッフとして参加をしました。

他にも、一緒にお酒を飲んだり、お話をしたり。

私は技術のことなどはわかりませんが、長男の川田十夢さん、次男の高木伸二さん、三男の小笠原雄さん、彼らAR三兄弟から、いつも面白く、楽しく、刺激ある、わくわくするものばかりをいただいてきました。

そして今日、三男小笠原雄さんが、ご卒業されました。

AR三兄弟のこれまでの作品をあらためて拝見できたことはもちろんとても楽しかったのですが、小笠原さん個人の作品を拝見できたことが今日とても嬉しかったです。

これまでの作品だけでなく、今後どのような活動をされていくのか、それに関しての作品にも触れさせていただき、感想をうまく表現できないのですが、自分のうまく言い表せない部分に訴えかけてきて、不思議な気持ちになりました。

AR三兄弟の作品はわくわくします。わくわくというか、ゾクゾクします。小笠原さん個人の作品は、何だか、自分が普段使わない感覚を引っ張りだされる感じがします。

「あなたの奥の方で使わなくなっている感情や感覚。勿体無いから、ぐいっと引っ張りだしてあげるよ。」と言われているような、そんな不思議な感覚になります。

小笠原さんは今後は文章、そして朗読などの活動をされていくそうです。今日その一部を拝見しましたが、正直私は「三男卒業」よりも、それら作品に触れる中でハンカチを手に取りかけました。

AR三兄弟は、表現をすること、形にすることに対し、とても真摯な方々だと思います。

今日、私のずいぶん拡散された文章を読んでくださったいた十夢さんから「これからも文章を書き続けてください。僕はあなたの文章が好きですよ。」という言葉をいただきました。

この数日、自分の書いた文章が初めて多くの人の目に触れ、あらゆる言葉で評価され、戸惑っているばかりだった私に、まっすぐなその言葉が、すっと入り込みました。思うまま、私は文章を書いていようと、文章だけでなく、自分のそのとき思う表現に向き合って吐き出していこうと思うことができました。

まあぶっちゃけた話、何で食っていきたいのか、何を目指しているのかと聞かれることが多い中、そんなものよくわからなくて、自分がいまお金にできることをなんとかやってお金を得て、やりたいと思ったことを曲がりなりにもやっているだけのちゃらんぽらんな感じの日々で、ストレートにいただいた言葉が、うれしかったのです。

最後になりましたが、AR三兄弟の皆さま、司会およびスタッフのSCHEMAの皆さま、Rockakuの皆さま、本日は素敵な時間をありがとうございました。

あと、最後の最後に、これを貼っておきますね。
「何も言えなくて、おぽぽ」- オガサワラユウ

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mixiは私にとって「もうひとつの学校生活」だった

前の記事で、mixiについて冒頭で書いておきながらそれ以降一切言及しないという失礼をかましたので、私にとってのmixiで一記事書いておこうと思います。実はmixiは、私の「あこ」という名前が生まれたターニングポイントとも呼べる「居場所」でした。

2007年、私は18歳でした。当時まだ18歳未満は利用ができなかったので、大学入学と同時にmixiの利用がスタートしました。あと、まだ「招待制」でした。知人からの招待をされないと、参加できない制限がありました。懐かしいですね。

12年間を同じ学校で過ごし、まったく新しい環境というのは大学が初めて。そんなとき見つけたのが、同じ大学に入学する同級生たちが作ったコミュニティでした。そこでは「入学初日に、みんなで集まろう」というイベント告知がおこなわれていました。

新しい環境に少なからず不安を感じていた私はそこで数名とメッセージで交流をし、実際に初日に20人程度で集まって食事をしました。そのとき出会った数名は、今でも連絡を取り合い、頻繁に会う仲間です。

その頃GREEもありました。その頃のGREEはmixiとそっくり(まだ「ソーシャルゲームのGREE」ではなかった)ではあったものの、招待制ではないSNSで、私の周りでは「あまり活性化していない上に招待制ではないから危ない気がするSNS」という印象で知られていた記憶があります。

あの頃のmixiは、「招待制だから信頼できるサービス」と18歳以上しか利用ができないゆえの「僕たち・私たちのためのSNS」という印象があった気がします。

今では15歳未満・招待不要という環境になり、タイムラインやらつぶやきやらカレンダーやら、機能としては嬉しいけどmixiにはいらない二番煎じ要素がどんどん増え、なんというか闇鍋SNSといった印象です。

私のmixiのスタートは大学入学と同時で、さらにその主な用途が同じ大学の同級生との交流であったため、日記には大学での出来事を書き、そこには大学の友人たちからのコメントがつき、友人たちと遊んだときの写真を共有し、公開範囲は「友人までの公開」。

そこには「もうひとつの学校生活」がありました。大切な記録です。卒業アルバムより価値があるものです。

あと、面白かった特徴としては、お互いが何者かを実際に会って知っているのに、使用する名前はハンドルだという点。よくこの特徴は他でも挙げられていますが。あれはなぜだったのでしょうね。でも、あの不思議な決まり事のおかげで、なんだかサービスに愛着があった気がするのです。

私は現在24歳ですが、ちょうどその前後の世代にとって、mixiは青春そのものだったのではないでしょうか。おそらくそういった使い方をしていた人はたくさんいると思っていて、メディアでは「mixiは終わった」だの何だの言われていることもありますが、そうではなく、mixiど真ん中世代が「mixiを卒業した」のです。

以前の記事でmixiは「学校」という表現を用いましたが、まさに、もうひとつの学校生活であった「mixiを卒業した」のです。大事なことなので二度言いました。

mixiのアーリーアダプターであったりする、現在20代後半から30代の方々あたりは、また違った使い方をしていると思います。そういったお話もよく聞きます。でも今回は私の、同世代にとっての、mixiという青春時代のことを書きました。

今でもたまにmixiを開いたり、日記を更新したりします。それはなぜか。そこにはあの頃の学校生活が残っているからです。それに、まだmixiを利用している同級生はたくさんいます。正直「mixiは終わった」などと大声で言っているのは、少なくとも私の周りではインターネットに関わる仕事をされている方々ばかりです。

あと、これは今回の話とずれますが、私の母はmixiヘビーユーザーです。mixiを「居場所」として、mixiで出会った人たちと毎日コミュニティで、別の顔をして交流をしているようです。本名・本性は一切出さずに。(母は友人同士でLINEもヘビーユーズしているので、ちょっと特殊かもしれませんが)

mixiを利用する頻度は確かにぐっと減りました。しかしながら私は、「卒業アルバムを開くようにmixiを開く」のです。もうひとつの学校生活であったmixiをそっと開き、時折過去を振り返り、懐かしむのです。