「女子自撮り文化論 〜プリクラからスマホまで〜」

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「自撮り」という言葉は、どうやら辞書にも載っているらしい。調べてみると「デジタルカメラやカメラ付き携帯で、自分自身を撮影すること。静止画のほかに動画についてもいう。」と書かれています(大辞林)。

オックスフォード英語辞典で2013年を代表する言葉として、自撮りを意味する「selfie(セルフィー)」が選ばれたくらい、いま世界は自撮りで溢れています。(言葉自体が登場したのは2002年)

日本の自撮りの歴史を遡ると、遡りすぎるとそれこそ絵とか写真の発明とかの話になっちゃうんですが、今回の話の都合上、遡るのはプリクラの話までにしておきます。

プリント倶楽部とプリクラと自撮り黎明期

遡ること1995年。アトラス(現在セガとインデックスに事業が分散して、名前はインデックスに残って、プリクラ関係の事業はなくなったはず)が「プリント倶楽部」を発売し、大ヒットしました。でもたぶん女子が「自撮り」を意識し始めたのはこの段階ではありません。

おそらく女子が「自撮り」を意識し始めたのは、他社が類似製品を出してきた頃。アトラスがプリント倶楽部を出してからしばらくして、他社もこぞって類似製品を出すようになりました。

そこでどんどん力が入れられたのが、デコる機能。スタンプや背景、フレームなどのデコる機能。はじめはただ写真をデコってかわいくできればそれでよかったものの、徐々に、そこに写る女子を魅力的に見せるための美白や美肌を意識したプリクラ機が生み出されて行きました。

ここが日本における自撮り文化の黎明期と言えます。

「写メール」の登場とガラケー時代の自撮り

プリクラの存在を背景に、次に自撮り文化にとってなくてはならないのがもちろん「携帯電話(ガラケー)」の存在。

2000年11月にJ-PHONE(現:ソフトバンクモバイル)がJ-SH04(SHARP)を発売しました。
PHSを含めるとその前に京セラが出してたみたいですが、ガラケーにカメラが初めて付いたのはこの機種です。「写メール」という言葉が生まれました。

考えてみれば携帯電話にカメラが付いた時点で「写メール」という言葉があり、携帯端末での撮影は共有とセットという前提があったため、現在の写真とSNSの相性も必然と言えたのかもしれません。

そのうちインカメラが付いたり、端末自体をひねってカメラを内側に向けられる端末が出てきたり、自分自身を撮影することに適したガラケーが登場します。しかしながらここで面白いのは、インカメラはほとんど受け入れられなかったこと。画質が良い外側のカメラを使うために女子たちは必死になりました。

たぶんここで登場したのが鏡越しの撮影。カメラを鏡に向け、そこに映った自分を撮影する手法です。これはなかなかの優れた技術です。携帯端末を鏡に向けることで、顔の映したくない部分(顔全体の場合もある)を端末で隠すことができます。

ガラケーカメラの画質の低さには、それはそれで利点もありました。むしろこれがなかったら今の自撮り文化はここまで伸びていない気がします。その利点とは、画質が低いゆえにいろいろと誤摩化しがきくこと。つまりコツを掴めば誤摩化したいところを上手に誤摩化すことができたわけです。

ここで自撮り=画質で自分の美をうまく誤摩化すものという概念が定着してきました。

ガラケーカメラでの自撮りの発達までは、まだ黎明期と言えるでしょう。

「隠す」=「かわいい」って何だ!

ちなみに、自撮りにはいろんなパターンがあります。

・光の効果を使って自分のコンプレックスを消したもの(主に顔)
・スタンプなどの加工を使って自分のコンプレックスを消したもの
・鏡越しに撮影して、携帯電話およびスマートフォンで顔(およびその一部)を隠したもの
・角度を研究し尽くして自分を一番魅力的に見せるもの

大体こんな感じ!

いわば女子たちにとって、自撮りは「化粧」のようなものです。デコはメイク。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、日本人の自撮りは「隠す」行為を含んでいます。顔や身体の一部を隠して撮影することで、コンプレックスを隠したり、セクシーさやかわいさを演出したりするのです。

この文化はニコ生などでも見られ、なぜだか知りませんが「隠す」=「かわいい」みたいな風潮もあります。それで(それだけじゃないけど)流行ってるのがマスクブランドgonoturnだったりもします。

スマホ×SNS×写真加工アプリで加速する自撮り文化

次に、自撮り文化確立期および成長期の話。それがスマホの登場です。

最近ようやく女子たちがガラケーからスマホへのシフトを完了しつつあります。かといってそれ自体は別に自撮り文化に対して直接関係はありません。

スマホの女子への普及と共に始まったのが、SNSブームと写真加工アプリの登場です。まあ今日ちょうどSHAKE100主催のセミナーで、女子向けアプリの仕掛人の方々にお話を伺ったのですが、特に「DECOPIC」は計算尽くで波に乗り続けている感じがして素敵でした(具体性のない感想ですみません)。

そもそも女子はなぜ自撮りをするのか。それは男性によく見せようという意識もありますが、女子に対する承認欲求・対抗意識も強いと思います。おしゃれをするのは男性のためよりも周りの女子を意識していたりすることがあるのはこれ。

つまり承認してもらったり対抗したりする相手がいないと意味がありません。いつでもどこでも相手が決まってなくてもとにかくそれを満たせる場所、それがSNSなのです!(カメラアプリ独自の内部SNSが流行らないのは、狭い領域で同じ目的を持った人間が共有しても発見などがあまりなく生産性がないから)

海外と日本での自撮りの文化はちょっと異なっていると感じるのですが、海外は自分のリア充感(友達と楽しんでいる様子など)をアピールするためが中心、日本の場合は容姿を良く見せるアピールのためが中心だと思います。もちろん海外で日本のように容姿を意識したものも、日本でリア充感をアピールするための場合もありますが、中心はどちらかという意味です。もちろんこれは国によっても差があると思うので、調べてみたいところです。

ちなみに写真加工アプリの話をすると、せっかく鮮明に撮れるカメラの画質をあえて落とすものがまあ流行ります。肌の鮮明さを落として美肌とか言ってみたり、明度・彩度をおかしくして美白とか言ってみたり、いろいろフィルターかけてみたり。なんだかこの辺りにガラケーとスマホのハイブリッドな現象を感じますね。でも美肌・美白に関しては最近国産系のアプリで、ただ画質落とす色飛ばすとかでなく、本当にきれいに肌を撮影できるものは出てきています。

写真加工アプリは本当に奥が深くて楽しいです。美肌・美白だけでなく、プリクラのようにスタンプやフレーム、背景やフィルターなどで加工できるものもあれば、最近は写真を切り貼りしてさらにスタンプなどでデコるコラージュ系のアプリも流行しています。女子に流行る写真加工アプリの流れは、調べるだけでも本当に楽しい……

だらだらと長くなりましたが、ここでまとめ。

・女子の自撮り文化黎明期は、プリクラの出現にあり!
・「写メール」が生まれたことで、携帯端末で撮影するもの=共有するものという概念が生まれた
・自撮り=画質で自分の美をうまく誤摩化すものという概念はガラケーによって生まれた
・女子の自撮りは男性に魅力的に見せるためだけでなく、女子に対する承認欲求・対抗意識を解消するためでもある
・スマホが普及し、SNSが流行し、女子の欲求を満たすために最適な共有の場が誕生
・海外と日本における自撮りの文化は異なる部分がある

以上!女子の自撮り文化、カメラアプリ事情に関しては今後も楽しく追っていきます。

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