恋愛的視点でLINEの便利さを考える

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今や世界中で使われているLINEですが、特に日本で流行った理由について、特に自分の感覚や世代的な視点で考えてみようと思います。かなり主観が多いとは思います。

そもそも今更感はありますが、自分で考えて咀嚼しておくことが、今後サービスなどを考える上で必要だと思ったのでつらつらと書きます。ちなみにクーポンやゲームなどはほとんど置いておいて、基本的なLINEというツールについてのお話です。

まず、携帯メールの一般化まで遡ります。学生のほとんどが携帯電話を持ち、携帯メールが一般化した頃。携帯メールは電話を特別なものにしました。どういうことかと言うと、まあ恋愛を例にすると分かり易いと思います。

まずはメールで仲良くなって、電話をするようになったら特別な存在。こういう現象が起きていたと思います。メールで告白は軽過ぎるけど、電話なら……といった意識が一般的に(特に学生くらいの年代に)あった(今でもあると思う)と思います。

しかしながら、ウィルコムの出現で一瞬電話が格下げされたときもありました。ウィルコム同士は24時間通話し放題ということで、学生が皆ウィルコムを持ち「今日家に帰ったらコムするねー」なんて(まるで今のLINEみたいですね)言葉が交わされることもありました。

しかしながらこれは仲の良い友人同士の話で、恋愛においては別です。やはりどちらにしろメールや普段会っての会話で仲良くなってから、電話をする仲になっていたと思います。

そしてLINEが出現しました。先にLINEがなぜ気軽かを考えておきたいと思います。

1. 連絡先交換が手軽
赤外線通信などがあると言ってもやはり連絡先の交換は何だかんだ言って手間です。「当人同士が会わないと交換できない」「連絡先が変更になった場合の一斉連絡が面倒」「飲み会などで大勢と一気に知り合うと全員と交換するのが面倒だし誰が誰だか忘れる」などなど。まあ不便なことはいろいろあると思います。

これらはLINEの場合すべて解消されています。

当人同士が会わなくても、IDさえ分かれば誰でも連絡先に追加することができます。電話番号は……メールアドレスは……なんてしなくてもIDさえ分かれば通話もチャットもできます。

さらに、1端末1IDであり、端末を変更したらそのままのIDを移行するだけなので、連絡先変更というものがそもそもありません。

そして飲み会など大勢が知り合う場でも、幹事がLINE内にグループを作成すれば、そこで飲み会の感想のやりとりができ、さらに個人的に連絡を取りたければグループ内からアカウントを探して登録することができます。

2. iPhoneユーザーにやさしい
これは連絡先交換でも言えることですが、iPhoneには赤外線通信機能がありません。これまで連絡先交換手段として一般化されてきたものがないのです。慣れ親しんだ機能がないことに不満や不便さを感じた人は多いと思います。

そんなときもLINEなら、口頭でIDを伝えるか「ふるふる」で交換することができます。機種に依存しません。便利。

3. チャットである
短時間に大量のメールをしていた人が一番感じていると思うのですが、送受信のタイムロスがほぼないのは嬉しいと思います。最近は「既読になっているのに返事がない」なんてLINEストレスもあるようですが。内容を遡りやすいのも便利ですね。

PCでチャットをする文化に親しみがなく、メールで短文のやりとりをいらいらしながらしていた層は便利さを一番実感したと思います。

4. スタンプがある
思ったことや感情をわざわざ文章で打って返すのが面倒なときにスタンプは便利です。考えなくていいので気軽です。しかもスタンプを押しているだけでしばらく会話にもなります。

ちなみにスタンプは絵文字の派生だと言う人もいるかもしれませんが、それは少し違います。確かに「絵で感情を表現して送る」という点では絵文字と共通していますが、絵文字はそれ単体では意味を成しません(組み合わせて使うのは例外とします)。

以上のような理由で、LINEというツールはメールよりも気軽で手軽なものとして位置づけられ、利用されるようになったと考えます。

するとどうなったか。なんと携帯メールが特別化されました。むしろこれまでは、好きな人にメールをすることすらためらう女子は多かったと思います。

しかしながらLINEは、大勢で会ったらグループが作成され、その内容からスムーズに個人の連絡に移行することができ、スムーズにお互いの連絡先を知ることができ、チャットで慣れたらそのまま無料通話へ進むこともできます。むしろ、メールと電話という携帯電話の基本機能皆殺しのようなところもあります。

「メールって文章を打たなくちゃいけないから、スタンプや短い言葉でも何とかなるLINEだと、相手にどう思われるかとか気にしすぎなくて楽だよね」と誰かが言っていた気がします。誰だかは忘れました。メールだと好きな人にどう思われてしまうかなどあれこれ考えすぎないで、何かしらスタンプを送ってみれば良いのです。

そして文章として伝えたいことがあればメールをすれば良いのです。おそらく「LINEで告白はちょっと軽過ぎるけど、メールできちんと文章にするならまだいいかもー」なんて会話がありそうです。私の学生時代は「メールで告白は軽過ぎるけど、電話ならー」という会話をよく聞いた気がします。あれ、もう何年前だろう……

蛇足ですが最近LINEが派生サービス(ゲームやらマンガやら)を続々と初めていますが、あれらもそういったコミュニケーションのきっかけになるので、ユーザーは至ってスムーズにかつ喜んで使っていると思います。

なんて言うか、LINEって誰も不幸にならない感じが良いよね。(出会い系みたいに使われるのは、あれはサービス自体の問題ではない)

そろそろまとめます。

新しい製品、サービス、ツールの最大の的は「めんどくさい」です。そのためにIAやらUIやらUXやらがあるわけですが、要はそれ(製品やサービス、ツール)が、既にある「めんどくさい」を解消してくれるか、「めんどくさい」を意識せずに使える(つい使ってしまう)ものであるかが重要なわけです。

そこで恋愛的な考え方は良くて、LINEの場合

片想いしている相手
「連絡先交換、めんどくさいって思われちゃったらどうしよう」
(気軽に手軽にできる。めんどくさくない。)
「あれこれ考えてたら長文になっちゃった…気軽に連絡するにはどうしよう」
(「今何してる?」とか送らなくても、適当にスタンプ送ればこっちも向こうも気軽。)

→ 既にある「めんどくさい」(要はメールでめんどくさかった部分)を解消

片想いされている相手
「連絡先交換して、って興味持たれてるのかな」
(気軽に手軽に交換できるから良くも悪くも意識させずに済む)
「メールが来たけど、文章考えるの面倒だな」
(スタンプ適当に返しておけばOK、気づかないうちに連絡が続き、良い感じになったり)

→ 「めんどくさい」を意識せずに使える

両方を解消しているわけです。

「これってコミュニケーション系のサービスやツールにのみ言えることなのでは?」と思うかもしれませんが、そうではないと思います。

あらゆるものを使うときに恋愛的視点になると、たとえばECであれば、プレゼントを選ぶとしたらどんなUIが良いかだとか、デートに着て行く服を購入するにはどんなサービスだと使ってもらいやすいかとか。カメラアプリなら、どんな加工ができれば好きな人の興味を引きつけられるか(美肌・美白にできればLINEのアイコンにしたとき印象が良いとか、かわいくデコった写真を送れば好感度が上がるだとか)とか。

恋愛的視点というか、昔モバイルコンテンツの流行が女子に携帯電話が普及したことで爆発的になったように、女子視点その中でも特に女子の恋愛視点はサービス構想においてかなり有効だと思うわけです。

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